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東原研究室

研究分野・キーワード:高分子合成、精密重合、π共役系高分子、スーパーエンプラ

東原 知哉 教授東原 知哉 教授

 当研究室は、高分子合成の高い専門性を軸足として、新規有機エレクトロニクス材料の合成や環境にやさしい重合法の開発を中心に最先端研究を展開しております。また、博士課程学生や留学生の受け入れ・送り出しを積極的に行っています。詳しい研究室案内は研究室サイトをご参照ください。

1) 亜鉛アート錯体/ジアルキル亜鉛を利用した半導体高分子の精密合成

 有機エレクトロニクス材料に用いられる代表的なポリマー材料として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)が注目を集めています。従来のGrignard型モノマーを用いた重合系で、分子量、分子量分布、立体規則性の高度な制御が可能になってきていますが、反応性の高いGrignard試薬の起用は副反応や溶媒の精製が問題になります。私たちは、立体障害が大きく求核性の低い亜鉛アート錯体を用いたところ、水存在下や大気中で効率よく重合が進行することを見出しました(ACS Macro Lett. 2012)。最近では、極めて分子量分布の小さいP3HT(Ð~1.03)の合成にも成功しています(JPSA 2014)。

2) 半導体ブロック共重合体を用いた有機薄膜太陽電池の高効率化と長寿命化

 p型半導体とn型半導体のブレンド薄膜を用いるバルクヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池において、ブレンド相分離構造の制御法開発が必要です。ブレンドへの半導体ブロック共重合体の添加法を検討してきた結果、AB型ジブロック共重合体よりもABA型トリブロック共重合体の方が添加効果がより高いことが分かり、ブロックシーケンスの違いが電子デバイス特性に関連することを示唆しました(ACS Appl. & Interfaces 2016)。

3) 熱可塑性・半導体エラストマーの開発

 ハード-ソフト-ハードセグメントからなるABA型トリブロック共重合体(A=P3HT、B=ソフトポリマー)は、単一ポリマーであり、半導体でありながら、300%以上の伸張(右図)にも耐えることが明らかとなりました(第65回高分子年次大会)。

4) ハイドロゲルを用いた鮮度保持梱包システムの開発

 鮮度保持梱包システムの開発に関する学部間横断型研究で、農学部、理学部と連携しています。2016年6月には、さくらんぼの台湾への小口試験輸出を始めました。