研究室紹介

ホーム > 研究室紹介 > 川口研究室

川口研究室

研究分野・キーワード:高分子微粒子の合成と応用、電子ペーパー、有機-無機ハイブリッド光学材料、特殊構造ポリマーの合成と溶液物性

川口 正剛 教授川口 正剛 教授

 私達の研究室では、水を媒体(溶媒)に用いた環境にやさしい重合法(ミセル(共)重合、乳化重合、分散重合、ミニエマルジョン重合等)に関する一連の研究を行っています。この重合法は工業的に最も使用されている重合法であり、ナノサイズに分散した微粒子(高分子ミクロスフェアという)の状態で高分子が得られます。高分子微粒子は、低環境負荷の塗料、接着剤、色材、コピー用トナー、液晶スペーサー、電子材料および化粧品、クロマト用充填剤、医療診断薬、除放性カプセルなど様々な工業分野で広く活用されています。次世代の低消費電力ディスプレーの1つとして期待されている電子ペーパー用の機能性微粒子も私達の微粒子合成技術で作られています。

 研究室ではその他に、有機・無機ハイブリッド光学材料、重合性 (反応性) の官能基を有する高分子(マクロモノマー)、特殊構造ポリマー、リビングラジカル重合、ラダーポリマーの精密合成に関する基礎研究を精力的に進めています。

 代表的な研究例を以下に紹介します。

1.フルカラー電子ペーパー用カラー微粒子の精密合成

 次世代の低消費電力ディスプレーのひとつとして期待されている電子ペーパーへの応用を目指した高分子微粒子の作製に関する研究を行っております。シリコンオイルなどの低誘電率媒体中で長時間安定に存在する高屈折率な高分子微粒子を合成し、電気泳動方式の電子ペーパーに必要な白色帯電粒子を開発しました。現在ではフルカラー化を目指して(Y,M,C)カラー微粒子の合成や性能向上に向けた研究を行っています。

2.有機ー無機ハイブリッド化による有機光学材料の屈折率制御

 一般に、屈折率の異なる物質を混ぜると不透明になります。しかし、直径4nmのナノZrO2微粒子を高分子中にナノ分散させることができれば、高透明で高屈折率な光学材料が得られることを当研究室で見出しました。この技術を用いれば、これまでにない高性能な光学材料が生まれ、各種display、光学フィルム、スマホートフォンなどのカメラの高性能化、LEDなどの省エネ化が達成できます。

3.ミセルおよび不均一系重合における精密重合法の開発と応用

 水中、ミセル重合、乳化重合、分散重合、ミニエマルジョン重合等、 環境低負荷な不均一系重合に関する研究を行っています。また、水系不均一重合におけるリビングラジカル重合に展開を図っており、これまで合成が困難だった 各種ブロック共重合体や星型高分子からなる新奇な高性能複合微粒子の精密合成の開発を行っています。