研究分野・キーワード:コロイド界面科学、高分子化学、生体高分子、 ナノ粒子、分子認識、バイオセンサー、配列・配向制御
私たちの研究室は、ナノ粒子の配列・配向制御技術とそれを活用したバイオセンシング法の開発に取り組みます。主に使用する材料は、DNAと棒状金ナノ粒子である金ナノロッドです。
DNAは遺伝子伝達物質である一方、その塩基配列を設計することにより金属イオン、アミノ酸、タンパク質など様々な分子に対して優れた分子認識能を示すことから、魅力的な生体高分子材料とみなすことができます。また、金ナノロッドは可視・近赤外光と相互作用し、鮮やかな色を示すだけでなく、その配列・配向によって光学特性を変化させるナノ材料です。
このような機能に着目し取り組んできた私たちの研究に次のようなものがあり、これらが配属後の皆さんの研究テーマとなります。
アミノ酸やタンパク質、DNAなどの生体分子の多くはその鏡像と重なり合いません。このような性質をキラリティー、その異性体を鏡像異性体といいます。鏡像異性体は異なる生理活性を示すため、分子のキラリティーを分析する技術は極めて重要ですが容易ではありません。私たちはごく最近、金ナノロッドがDNAを介して一方向にねじれた(=キラルな)集合体を作ることを発見しました(図1)。この現象を活用し、簡便かつ高感度な分子キラリティー分析手法を開発していきます。
DNAを固体界面(例えば、ガラス基板)に片末端を介して高密度に固定化すると固定化面に対して垂直方向に伸び切った形態をとります。このようなDNA集合体をDNAブラシと呼びます。私たちはこのDNAブラシを足場として利用した金ナノロッド配向制御法を開発しました(図2)。この金ナノロッド配向制御技術を利用し、例えば、重金属イオンなど毒性の高い物質をリトマス試験紙のように色変化によって検出する手法を開発していきます。
このような研究に取り組む中で、コロイド界面科学や高分子化学に関する専門力を身に付けることができます。また、学会発表や報告書作成、学術論文執筆を通し、研究者としての素養も高めることができます。新設研究室(2024年7月スタート)として、皆さんが初めて配属される学生となりますが、松井研究室と連携していますのでご安心ください。興味を持たれた方は是非ご連絡ください(s.nakamura(at)yz.yamagata-u.ac.jp)。
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