研究分野・キーワード:高分子合成、液晶、デンドリマー
今日では様々な機能を持った機能性分子が開発されています。それらの中には、分子が望みの方向に規則正しく並んだ時に最大の性能を発揮すると期待されるものもありますが、そのように並べることはそうそう簡単なことではありません。
液晶ディスプレイ(LCD)に使われる液晶もそのような機能性分子のひとつで、明暗表示を切り替えるためには分子を一方向に並べることが必要です。そのためにLCDでは配向膜を使用していますが、配向膜の製造工程はLCDの製造過程のうちでもっとも不良品を出しやすい工程です。
私たちは、これまで右に示すようなデンドリマーの末端に液晶性を示す部位を結合させた液晶性デンドリマーを合成してきました。これを、ディスプレイ用の液晶に少量添加すると液晶分子全体を一方向に並べることができて、配向膜を用いずに液晶ディスプレイを製造できることが、これまでの研究でわかっています。このように液晶材料に混ぜるだけで材料全体の配向方向を決めることのできる液晶デンドリマーは、分子を並べる非常に簡単な手法になるのではないかと期待しています。
現在は、液晶デンドリマーの分子設計を検討することで、1)より高機能/高性能なデンドリマー、2)より簡単に合成できるデンドリマーを設計することを検討しています。さらに、液晶以外の機能分子を並べたり、軟らかい表面など物理的に配向膜を形成できない場所で分子を並べたりするのに使えないか検討しています。