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吉田研究室

研究分野・キーワード:電気化学、無機/有機ハイブリッド材料、太陽光発電、蓄電デバイス、再生可能エネルギー

吉田 司 教授

 電気化学を活かした低エネルギープロセスによる無機、有機、それらのハイブリッド材料の創出と、これを用いた再生可能エネルギーシステムの構築に取り組む研究室です。①無機/有機複合化原理の解明と制御手法の確立、②毒性希少元素を排し、低コストで持続可能な次世代太陽電池の開発、③電気化学、光電気化学的物質変換によるエネルギー貯蔵技術の開発、がターゲットです。国際共同研究が活発で、エネルギー・環境問題というグローバルな課題に、グローバルな組織でチャレンジしています。

①新材料創出と原理解明

 頑丈で物性に優れた無機材料、軽く柔軟な有機材料、そしてそれらのハイブリッド化は新材料創出に無限の可能性を与えます。大切なのは、無機か、有機か、などの括りではなく、真空や高温などの高エネルギープロセスや毒性希少元素を用いないことです。例えば、亜鉛イオン、酸素、ローダミン色素を含む水溶液中での電解反応によって、ナノスケールの迷路の様な複合構造が得られます。これは、「チューリングパターン」として知られる、反応拡散機構による自己組織化であることが明らかになりました。この様に、自然の原理をうまく活かして、新しい機能材料の創出を目指します。

②次世代有機太陽電池の開発

 仮に太陽光発電だけで人類全てのエネルギーを供給するなら、パワーにして200 TW、変換効率が20%ならば10万km2(日本の国土面積の1/4)が必要になり、寿命が20年なら、毎年10 TWの太陽電池を作り続けなくてはなりません。すなわち、高効率低コストであることはもちろん、毒性元素や希少元素を排し、作り続けることの出来る太陽電池が必要です。その点、人工的に合成可能な有機材料を印刷やメッキで高速連続製膜する有機系太陽電池は理想的です。さらに軽量、柔軟、カラフルな特色は、暮らしのあらゆる場面で使いやすい太陽電池を実現します。色素増感型、有機薄膜型、そして次世代の有機CT結晶太陽電池の研究開発に取り組んでいます。

③(光)電気化学エネルギー変換貯蔵

 太陽電池や風力発電などの自然エネルギーは必然的に発電量が揺らぐため、貯蔵技術を確立しないと、その導入拡大が制限されてしまいます。短期的には昼に発電した電力を夜に使う「日較差」の解決が課題ですが、例えば雪国、米沢で夏の農作物を貯蔵し、冬に食べる文化・技術が育ったように、夏に創った電気を冬に使う、「年較差」を解決する技術が究極目標です。それには、高性能で軽量だけど高価な自動車用蓄電池とは別の技術が必要です。重くても良いので、安価、安全で巨大容量、長寿命な蓄エネシステムが必要です。レドックスフロー型電池や炭酸ガス電解還元による化学燃料合成に取り組んでいます。